商用で映像を撮影する場合、撮影許可を取らなければならない場面が多々あります。通常は映像制作会社の制作部が許可どりに動きます。最近のテレビ番組を見ていると出演タレントに許可・交渉をさせてそのまま編集し、番組にしてしまうという荒業が多く見受けられます。映像に関わるものとしてはなんとも怠慢で手抜きな感じがします。制作予算をかけずにメジャータレント出演費にまわし、なおかつその交渉の様子などタレントの素の部分も見せて「つくられていない感」で視聴率も稼げるという一石三鳥の街歩き番組がやたら増えた気がします。一方我々の広告の世界ではその手法は当然ですが通用しません。テレビ局の番組と一商品の商用映像とでは撮影許可の対応に雲泥の差があり、撮影許可料も全く変わります。マンション映像を撮影する場合、ロケにはほぼ毎回この問題は発生します。なぜならマンションは市街地が多く、周辺環境の良さを伝えるためにはおしゃれなレストランだったり、美しい公園や通りだったり、ドローンでマンション敷地をCG合成のために撮影したり、で撮影許可必要箇所は山ほど出てくるわけです。そして肖像権の問題で街中の人々は写せないので、撮影アングルで逃げたりエキストラを仕込むシーンがどんどん増えてくるわけです。不動産映像監督としては物件資料、広告資料をいただいた段階で不動産的見地からの必要カットは想定できるので、あとはクライアント様の意向等々を皮膚感覚で伺いながら台本を進めつつ、演出的にどうしても撮りたい場所は、制作部に撮影許可どりが難しそうな場所から優先的に動いてもらい、可能性ありが出てから演出プランを書き込むようにしています。